✧*。最愛✧*。



ドキドキと煩(うるさ)く鳴る心臓音が、雪夜に聞こえてしまいそう




「あ…あの……雪夜?」



パッと離れると、赤いであろう顔を覗き込まれる



「あぁ、悪ぃ。大丈夫だったか?」




至近距離で目が合うと、何故かすぐに逸らされる視線




「………腹、減ったな。飯食うか?」



「う…ん」




何か不思議……付き合う前の頃みたいに胸がザワザワして落ち着かない



いつも一緒に居たのに、こんなの慣れっこの筈なのに、こんなにドキドキするのは いつ振りだろう


外を見れば太陽は天高く上がり、蝉の声がより一層大きくなっていた



顔を洗って、歯を磨いて部屋に戻ると食欲をそそる匂いが漂っている




ベーコンに目玉焼き、バターたっぷりのトースト



定番の朝ご飯……いや、昼ご飯?



「美味しそう。私、運んどくよ」



雪夜が顔を洗いに行っている間に、料理をテーブルに運び準備してくれていたカップにコーヒーを淹れる



雪夜はブラック、私はミルク入り



お揃いのマグカップを、テーブルに置いて改めて見ると以前のままだと錯覚しそう




「ねぇ…さっき。何で一緒に寝てたの?」




少し気になっていた事を口にした



「ん?あぁ…お前 結構、魘されてて……泣いていたから」




「え?……そ、なんだ」




夢で泣くとか…恥ずかしい



確かに、いい夢じゃなかったけど