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「待って、皆!行かないで……待って、雪夜ッ」
母親はもちろん、美沙希や涼介、そして雪夜が私の前からいなくなって、本当に一人になってしまった
寂しくて…心細くて…露頭に迷う私に手を差し伸べたのは、母親を連れて行ったあのヤクザ
その手を取ると、私を暗い牢獄みたいな部屋に閉じ込め、逃げ出す事が出来なくなった
ハッと目が覚め、勢いよく体を起こして周りを見渡す
ーーー夢、か…
「……大丈夫か?魘(うな)されていたけど。怖い夢でも見たか?」
後ろから声がして振り返ると、別々に寝たはずの雪夜がベッドに横になったまま私を見ていた
「え?な、何で…?ぅわっ」
慌てて距離を取るとズルッとベッドから落ちる体
その瞬間、私の腰に腕を回した雪夜は 引き寄せるように抱きしめた
「あ…ぶねぇ」
耳元で囁くように言う
カァッと体温が上昇して顔に熱が篭(こ)もる
ホッとしたのか抱きしめたまま、コテンと私の肩に頭を乗せた



