ーーーブォン スピードを落とした2台のバイクは私達の前で停まった 「待たせたな。ほら、メット被れ」 涼介はポンとヘルメットを美沙希に投げるように渡す その様子をジッて見ていると、いつの間にかバイクから降りた雪夜が私の前に立った 雪夜の右手の薬指には、もう指輪はなかった 自分から言い出した事だけど、やっぱり苦しい 下を向いていた私の視界にヘルメットが映る 「このヘルメット……私の…」 そう… これは雪夜と一緒に買いに行った私専用のヘルメット サイドには『乃愛』とマジックで書いていた