美沙希は私を押し退けて家に上がると、迷わず私の部屋へ行く



あれよあれよで されるがまま海へ行く準備が整ってしまった



無理やり着替えさせられると、そのまま強引に外へ連れ出され 問答無用で待ち合わせ場所まで連れて来られた



「……どんな顔して会えばいいのか分かんないから来たくなかったのに」



不満が口から漏れ、それを美沙希が聞き逃すわけがなく振り返って私を睨むように覗き込む



「普段通りの乃愛でいいの!分かった?」



「う………」



はぁ〜っと重たい ため息をついた時、遠くからバイクの音が聞こえてくる



雪夜と涼介のバイクの音だ



浮かない顔をしていると、美沙希が私の頬を引っ張った



「いひゃい!」



「顔が強張ってる。ほら、笑って」