誰も何も言わないから、私も甘えていた……だけど、いつまでも甘えていられない
「ずっと居てもいいんだぞ?」
「ううん。来週中に出て行こうと思う……色々、ありがとう。もう大丈夫だから…」
「…そうか。何かあったら いつでも頼れ」
以前は警戒してたけど、今は素直に その言葉を、その気持ちを受け入れる事が出来る
この人は きっと…姉の事を忘れられない限り私の事をずっと気に掛ける
「ねぇ……『あっ君』、もう充分だよ。これからは自分の為に生きて、そして幸せになって。きっと姉もそれを望んでるから」
私が そう言うと、『若』は哀愁を帯びた目を私に向けて小さく微笑んだ
その微笑みは何処か悲しそうで 壊れてしまいそうで…
いつか姉の事が思い出となって、彼に笑いかけてくれる素敵な人が現れてほしいと…そう心から願った



