造花の青い薔薇を一輪、花瓶に入れる
パイプ椅子に座り、雪夜の手を握った
「雪夜、もう夏だよ?いつまでも寝てないで早く起きなきゃ。海に、花火に、バーベキューに…やる事 沢山だよ?」
すっかり綺麗になった顔を見つめながら、そっと頬に触れる
………少し痩せたね
「さて、マッサージしようか」
いつものようにマッサージしようと立ち上がるとピクンッと手が動いた
ハッとして雪夜を覗き込むと、顔を歪めたあと薄っすらと瞼(まぶた)が開いた
「雪夜!?」
薄く開いた瞳は、ボーッと天井を見つめている
慌ててコールボタンを押す
「雪夜!わかる?乃愛だよ、雪夜」
声をかけて、反応を見ていると 雪夜の真っ黒な瞳が揺らいだ
するとガラッと扉を開け看護師さんが入って来ると、先生を呼びに踵(きびす)を返して病室を出て行った



