「蒼兄」
『若』も私達と同じように縁側に腰を下ろした
「ねぇ、あなたは他人の私に何で そこまでしてくれるの?ちゃんと理由を教えて」
「理由……か。これ以上、はぐらかしても無理そうだな」
ちらりと私を見る
何処か哀愁を感じさせる その表情は、いつもの冷たい印象すらない
「本当にお前は…優愛(ゆあ)に、よく似ている」
『優愛』は私の姉の名前
父親や母親より 頼りになる自慢の姉だった
冷めきった家庭の中で、寂しい思いをさせまいと私の事を、唯一いつも気に掛けてくれる優しい姉
私が中学1年になったばかりの頃、交通事故で亡くなって…
それを きっかけに完全に家族がバラバラになってしまった
姉が居たから冷めた家庭でも、私達は家族でいられた
「…何で、その名前を知ってるの?」
「優愛とは…付き合っていた。結婚も考えていたんだ」
だけど…
こんな家柄だ、狙われるのは必然で……



