時々 聞こえる鳶(とんび)の鳴き声



さっきまで荒れていた気持ちが落ち着いていくのが分かる



「ごめんね…美沙希を悪役にして。私がいつまでも雪夜に執着してるから、こんな事になるんだよね。いい加減……解放してあげなきゃね。分かってるんだよ?ちゃんと。でも……なかなか、気持ちが付いて来なくて……本当、私ってダメ人間」




美沙希は黙ったまま私の言葉に耳を傾けている



返事がなくとも 私には、それが心地よく感じた




「美沙希が言ってくれた『もう一度、好きになってもらえばいいじゃん』。あの時、結構救われたんだ。ストンと私の中に入ってきて、気持ちが楽になったのを今でも覚えてる。でも、雪夜からしたら、私の存在は足枷でしかないのかもって、今日 改めて思い知ったよ。雪夜は私の記憶が無くなって、リセットされたんだ」




そう…以前、付き合ってたからって同じように私を好きになってくれる筈ないのに



何を根拠に『好きになってくれる』って思ってたんだろう……それこそ私の我儘なんだ





「だから…もういいんだ。この気持ちがいつ消えてくれるか分からないけど…もしかしたら、ずーっと消えないかもしれないけど。だとしても、雪夜を自由にしてあげようと思う」





雪夜が私を忘れて、違う人を好きになる



それは仕方ないよね




辛くても、悲しくても…それを私が受け止めなきゃならない……愛しているからこそ




「美沙希、ずっと友達でいてね」



いつの間にか繋いでいた手に願いを込めた