剣城くんは押し強い


先程まで背中に隠していた"何か"を私に差し出した。


「…っ!」


私は目の前にある"モノ"をぱちくりと凝視する。


剣城くんが今、手に持っているもの───それは、ひまわりの花束だった。

3本のひまわりの他に、オレンジと白の花が幾本か束ねられている。

ラッピングを留めている鮮やかな青色のリボンが飾りとして結ばれており、ひまわりとリボンの組み合わせによって、夏の爽やかな雰囲気を醸し出していて、

「かわいい…!」

無意識に本音が口から漏れた。


「ひまわり畑に向かう途中、花屋さんあっただろ?」

「あぁ、うん。そういえばあったね」

「連れてきてもらったお礼として、盾石にプレゼントしたかったんだ」


「はい、あげる」と言って、私は彼から花束を受け取った。


「そんな……一緒に来てくれたのは剣城くんじゃん。むしろ、感謝するべきなのはこっちの方だよ…」


異性から花束なんて貰ったことがない私は、どのように反応すればいいのか分からずにいた。


「俺があげたかったからいいんだよ。…あと、これは『一緒に行ってくれてありがとう』って気持ちと、『盾石が好きだよ』って気持ち、どっちもこもってるから、遠慮なく受け取ってほしい」

「……っ」