剣城くんは押し強い


…ど、どうしよう!?

剣城くんが迷子になった…!!


「剣城くん!高校生にもなって迷子はだいぶ恥ずかしいよ!?」

「ははっ、何でだよ」


声はしっかり聞こえるのに、剣城くんらしき人物が全く見当たらない。


「盾石〜」

「何──」

「わっ!!」

「ぎゃあっ!!??」


突然、目の前にひょっこりと顔を出し、両手の指を曲げて前に出すポーズをしながら脅かしてきた剣城くんに、私は女の子らしくない叫び声を上げる。

口をパクパクさせて、放心状態になっている私の姿を見て、ケタケタと可笑しそうに笑った。


「やっぱ盾石ってリアクションすげーよな」

「き、急にやめてよ!びっくりするじゃん!!」

「あはははっ!」

「笑わないでよ!」


そう言い返しても、剣城くんはずっと笑ったまま。

更には、お腹を抱えて笑い出す。