剣城くんは押し強い







電車に揺られ、その後バスに乗り換えて5分程してのことだった。

バスから降りてすぐ目に入ったのは、『ひまわり園』と大きく書かれたアーチ看板。

それをくぐり抜けた先には、周辺一帯に一面のひまわり畑が広がっている。


真夏日の中、雲一つない、透き通るような青みを帯びた空の下。

野原に咲くひまわりの地平線。



「……綺麗」



ぽつり、そう呟いた瞬間、そよそよと気持ちの良い風が吹き抜ける音がした。


「ひまわり、すごいね!たくさん咲いてるね!」

「うん、そーだね」


1人、高揚した状態で、どこまでも続く、ひまわり畑の細道に沿って、剣城くんと肩を並べて歩く。


こうして、2人並んで歩くのは、河川敷での出来事以来だろうか。

そんなことを考えながら、家族連れの親子たちを時々見かけた。


父、母、そして男女のキョーダイ。

2人の子どもは、麦わら帽子を被って、両親たちよりも先に進んで、楽しそうに走り回っている。


どっちの子が年上なんだろう。

もしかしたら双子なのかもしれない。

私も昔はあの子たちみたいに柚希と追いかけっこしながらはしゃいでたっけ。


子ども2人を昔の自分たちに重ねて、懐かしい気持ちに浸った。