剣城くんは押し強い


お父さんの口から"同じクラスの男子"と聞いて、脳裏に剣城くんが思い浮かんだ。


「ゆゆゆ、柚奈、男の子と2人で行くのか!?」

「へっ!?いや、違っ……」


…ん?違わなくもない、のかな。

一緒に行く約束はしたけど、"2人で"とは言っていない。

まだ日程は決まってないし、剣城くんは誰か誘うのだろうか。

私も誰か行ける人、誘った方がいい?


「…で!?結局どうなんだ!?男の子と2人で行くのか!?」


ズイッと前のめりになって聞いてくる父に、少し体を後方に反らしながら、

「…ひ、ひみつ!!」

それだけ言って、駆け足で自室へと逃げ込んだ。


肩を上下させて、息を整えていると、勉強机の上に置いていたスマホから通知音が鳴り響く。

確認すると、剣城くんからメッセージが1件届いていた。


《ひまわり園に行くの、再来週の土曜日でいい?》


トーク画面を開き、既読をつけた私は、《OKです》という、盾がモチーフとなったキャラクターのスタンプを送信しておいた。