きょとんとする彼を前に、今までにないくらい鋭い目つきで睨みつけた。
握られていた手を乱暴に振り払いながら声を上げる。
「うるっせー!!私は好きじゃないっつってんだろうが!!話聞けやっ!!!」
人と話す時にこんな口が悪くなったことなど一度もない。
多少心の中で一人驚きつつ、私の威嚇に剣城くんはパッと嬉しそうに目を輝かせて、
「上目遣い、めちゃくちゃ可愛いね」
なんて、意味不明なことを言ってきた。
「大丈夫、俺、手に入れたいって思ったものはめっちゃ押しまくって手に入れる主義なんだよね。攻撃力は高めで"押し"にはすごく自信ある」
何言ってんだこの男。
後、私は"もの"ではない。
大事なことなのでもう一度言おう。
私は"もの"ではない!!
「早く俺のこと好きになってね、盾石♡」
こてん、と可愛らしく首を傾げる彼に私は思わずこう叫んだ。
「何言ってんだこの男!!!(2回目)」
こうして、次の日から剣城くんの押し強い猛アタックが始まろうとしていることなんて、私は知る由もなかった───。