お泊まり会の日以来、私は必死だった。

唇に柔らかい感触がしたのを今でも鮮明に覚えている。


あの日、剣城くんにキスをされた後のこと。

重なった唇が離れた隙を狙って、沸騰しそうなくらい、熱を持った体と共に、フラフラよろけながら、自室へ逃げ込んだ。

それ以降は、剣城くんと会話を交わすことなく、出来るだけ考えないよう、期末テストに向けて勉学に励んだ。


そして、雑念を払いながら勉強に勤しんだ結果、私は全教科のテストを見事、平均点以上の点数を獲得するという、成果を残した。

それぞれ教科担当の先生たちから答案用紙を受け取る度に『よく頑張ったな!』と、目をうるうるさせて、称賛の言葉を頂いたのだ。


…確かに、勉強はできない方だけども、先生たちからすれば、私って、相当馬鹿だと思われているのだろうか。

そのように捉えてしまうと、少し複雑な気持ちになる。


「いいか、お前らー。明日は終業式だから、ちゃんと学校来いよー。絶対サボんなよー」


いよいよ、夏休みが始まろうとしている。


…夏休み、何して過ごそう。

課題したり、ももちゃんとどこか遊びに行ったり。

いっそのこと、短期のアルバイトでも探してみようかな…。