「…なあ、ゆずながもし、あやとじゃなくて、槍田を選んだらどうすんの?」
「どうもしないよ。盾石が決めたことに文句は言わない」
「…おまえ、まさか当て馬になろうとしてる?」
「……」
「当て馬になるあやと、すっげーだせーな」
「……」
双子だからなのか、盾石とそっくりな顔で『ダサい』と言われると、グサッと結構なダメージを受ける。
「盾石が幸せになるなら、俺は何だっていい」
彼女が笑顔でいてくれるなら、それでいい。
盾石が心の底から好きになった人を選べば、俺は───…。
──『あなただあれ?』
まだ、幼い彼女が頭に包帯を巻いて、不思議そうに首を傾げて聞いてくる姿を思い出してしまう。
あの頃、俺は君に"好き"と伝えられなかった。
だから、君に好きな人ができるまで、自分勝手だけれど、俺は、沢山想いを伝えたい。
可能性がなかったとしても、好きでい続けることを、どうか許してほしい。
目を伏せて、心の中でそう呟いた。