"槍田(うつぎだ)くん"。

柚希たちと同じ中学で、盾石の好きな人。

柚希は、中学時代の同級生たちに2人の関係について冷やかされたり、茶化されたりなど、周りから色々騒がれていたらしく、盾石の槍田くんに対する気持ちは"恋"ではなく、勘違いだと言っていた。


だけど、最終的に決めるのは、彼女自身だ。



『───…絶対に俺のこと好きにならせてみせるから──…』



なんてことを言い切ってしまったが、正直、自信はない。


──『…わ、わたしは、すきじゃない……』


わかってる。


──『い、今の剣城くん全然爽やかじゃない……』


そんなこと、わかってる。


俺は爽やかでも、完璧でもない。

長年の片想いを拗らせているただの重たくて、ダサい男だ。


シロツメクサの花言葉を利用して、『"私を思い出して"』と、思い出してほしいけど、思い出してほしくない。

そんな矛盾した気持ちと共に出た言葉。


案の定、盾石はきょとんとしていた。

困ったように俺を見上げる姿も可愛らしくて、愛しくて。

もう、病気なんじゃないかと疑ってしまう程、好きすぎてたまらない。