馬鹿野郎!思い出すな、集中するんだ…!!

…でも、剣城くんに触られたの、ちょっと良かっ───…違う違う違う!!

何を気持ち悪いこと呟いているんだ、私!!


立ち去れ、煩悩!
消え去れ、煩悩!


雑念を払うべく問題集に取り組もうとするも、剣城くんの肘と私の肘がちょんっと、当たってしまい、

「ぎぇぐぎぁっ!!?」

動揺のあまり、思いきり後ろにひっくり返った。

その衝撃で筆箱がテーブルから落下し、中身が床に散乱する。


「盾石、大丈夫?」

「おまえ、何新喜劇みたいなコケ方してんだよ」


びっくりしながらこちらを見る2人に、私は真顔で「お気になさらず」と答える。


「…よーし、ゆずながさっきから百面相ばっかしてて鬱陶しいし、休憩でもすっか〜」

「…はあ??」

「トイレ行ってくる〜」


私の睨みつける攻撃を無効とした柚希は鼻歌混じりに部屋を出て行った。


あの野郎…。


扉に向かってキッと睨みながら文房具を拾う。



「…あれ、その押し花……」



剣城くんが目を真ん丸にして、文房具と共に散らばっている四葉のクローバーの押し花を指さした。