剣城くんは押し強い



「たこ焼き、冷めんぞ?」

「ゆ、柚希!見てないで助けて!!」

「オレはさー!別にさー!2人の邪魔したくて割り込んだんじゃなくてさー!せっかく出来立てのたこ焼きなのに、おまえら中々来ねえからさーっ!!」

「…あの柚希、だから──」

「そういうことすんの飯食ってからか、オレがいない時にしろよな!!」

「いや、何でだよ!!」


何故か私たちが付き合っているという設定で話していて、思わずツッコんでしまう。


「ごめん、柚希」


困ったように眉を下げた剣城くんは、肩をすくめてスッと私から離れる。


「盾石もごめん。ちょっと意地悪しすぎた」


そう言った後、剣城くんが私の手の甲にそっとキスをする。


「でも、今日は盾石のやらしい顔見れたから、結構満足」

「んなっ…!?」


ぶわっと一気に顔が赤くなっていき、金魚のように口をパクパクさせる。


「晩ごはん食べよっか」


それだけ言って、剣城くんは洗面所を出て行った。







「あやとさー、あれで満足したとかぜってー嘘だろ」

「……」

「ヤるなら付き合ってからにしろよ」

「…まだそこまでできないよ」

「おまえの理性すげーな。マジで尊敬するわ」

「……」