剣城くんは押し強い


詰め寄ってくる剣城くんとは反対に、私は一歩後ろに下がった。

気がつけば、壁に追い込まれていて、逃げ場を失ってしまう。


剣城くんは、僅かに目を細めてこう言った───。



「ね、イチャイチャしよ」



とんでもない爆弾発言に「はっ!?」と、裏返った声を出す。


「しない!絶対しない!!」

「おっけー、とりあえず服脱ごっか」

「話聞いてた!?」


剣城くんが服に手をかけてきたため、それを阻止するように振り払う。

脳内に警報のようなサイレンが鳴り響いた。


剣城くんが迫ってきた!!
さて、どうする?▼

▶︎にげる
 にげる
 にげる


頭の中は"にげる"ことでいっぱいだ。

一刻も早くここから立ち去りたくて、目の前の男を押し退けようとしたら、


「はーい、つかまえた〜」


ガシッと両手首を掴まれ、逃げられなくなった。


にっこり笑う剣城くんを前にして、恐怖からなのか、心臓がドクン、ドクン…と、高鳴り出す。


「は、離して…!!」

「やだ」

「『やだ』じゃない!いいから早く離れ───…ひあっ!?」


精一杯の力で抵抗しようとした矢先、ちゅっ…と耳にキスを落とされる。