剣城くんは押し強い



「ののの、ノックした!?」

「したけど、返事なかった」

「わたっ、私が裸だったらどうするの!!」

「もちろん見るつもりだったけど」


何言ってんだこの男!!!(恐怖)


「冗談だよ」


くすっ、と愉快そうに笑みを見せる彼だが、正直なところ、私からすれば冗談のようには聞こえなかった。


「……」

「…な、何?」


急に黙り込む剣城くんの視線がゆっくりと私が着ている服に移っていく。

更にはじりっ…と、歩み寄ってきて、見下ろすように目の前に立ち止まる。


「…盾石が着てる服、なんか大きくない?それ、男物だよな?」

「…えっ、あっ、これは柚希の、Tシャツだから……」


私はよく柚希の服を勝手に借りて、寝巻き代わりにしている。

メンズ物だから、オーバーサイズでゆったりとしていて、着心地も良い。


「…いいなぁ、今度俺の服も着てよ」

「はっ、何で……」

「…つーか、盾石。まさかその格好で夜過ごすつもり?下何も履いてないみたいになってんじゃん」

「た、短パン履いてるもん…」

「短パン履いてるにしても足出しすぎ。柚希以外の男がこの家にいるってこと、自覚持てよ。こっちからすれば、誘ってるようにしか見えない」