聞いてよ、お母さん。
今、我が家に剣城くんが遊びに来ています。
柚希とお泊まり会をすることになっているそうなんだけど、きっと彼は襲撃を目的にやって来たのかもしれません。
剣城くんと関わるようになってから、心臓がいつも騒がしく、体温の高低差も激しくなってきています。
───それと、あとね。
剣城くんと話していると、時々、頭に痛みが走るの。
頭痛がしたと思ったら、次は胸が苦しくなってね。
この間、剣城くんと河川敷での帰り道の時も、少し靄がかかったような気がして───…。
「俺も盾石のお母さんに挨拶していい?」
「…どわっ!?」
背後から剣城くんの声がして、ビクッと体が飛び跳ねる。
「いいい、いつの間に…!?」
「今来たとこ。呼んだけど、返事なかったから勝手に入らせてもらった」
ごめん、と謝る彼に、私は首を横に振る。
「ど、どうぞ…」
「ありがと」
横にずれて、場所をあける。
再度、りんの音が静かに響き、剣城くんは目を伏せて両手を合わせた。
…お母さん、この人が剣城くんだよ。
爽やかイケメンを装っているロールキャベツ系男子なのだよ…!!
いきなり抱きしめられたり、噛んできたり、弱点を握られたり、セクハラもどきのことをしてくるの…!!


