…なんなの、ほんとに。
何でそんな余裕な態度なの。
何で私はこんなに剣城くんに振り回されなきゃいけないの…!
「…も、もうっ、わかった、から……離して……」
剣城くんが私のことを好きでいてくれるのは十分伝わったから。
だから、もうこれ以上───…。
「ドキドキさせないで」
真っ赤な顔で俯きながら剣城くんの胸を押し返すが、力が入らない。
「「……」」
下を向いているから黙り込む剣城くんが一体どんな表情をしているのかもわからない。
ぎゅっと目を閉じて、彼の言葉を待っていると───…。
「盾石」
「何……ヒッ!?」
名前を呼ばれ、顔を上げたと同時にはむ、と剣城くんに耳輪を食べられる。
「ぎぇあっ!?」
片手で耳を押さえながら猛スピードで剣城くんから距離を取る。
「ずっと思ってたけど、盾石耳弱いよな」
「うわ────っ!!!」
「ははっ、うるさ」
「うわ────っ!!!」
「いてっ、叩くなって」
やっと解放された私は、ポカポカ両手で剣城くんの肩を叩いた。


