「よかったね、剣城」

「うん、ありがと」

「……よくないよ」


地を這うような声でももちゃんと剣城くんの会話にツッコみを入れる。


「おーい、【声が大きい女の子】〜〜っ!」

「はあんっ!?」


今度は誰なんだ!?

そう思いながら振り向くと、教室の出入り口に柚希が立っていた。


「あれ、ゆずなのクラス席替えしたん?」


柚希がズカズカ私の所にやって来て、そのまま私から剣城くんの方へと視線を移す。


「おーっ!あやとじゃん、久しぶり!!クラス離れてから全然会いに来てくんなかったから寂しかったんだぞ〜?」

「ごめん、柚希。盾石がいるからいいかなって思って」

「わははっ!オレをゆずなに置き換えんなっつーの!」


楽しそうに話す2人を見て、私は疑問を抱いた。


「…柚希って、剣城くんと仲良かったの?」

「ん?うん、仲良いけど」

「1年の時、同じクラスだったんだよ」


剣城くんが柚希の代わりに答えてくれたが、私は初耳である。


「…えっ、聞いてない……」

「オレ言ったけど、おまえ興味なさそうに聞き流してたじゃん」

「……」


そうだっけ、言ってたっけ。

言ってたような、言ってなかったような…。

あれ、ちょっと待って。