矛杉くんも剣城くんと同様、同じクラスになったのが今年からなので、あまり関わったことはない。
大して話したこともない人にこんなに嫌がられるとは…。結構傷つくなぁ。
「あっ、別に盾石が嫌いとかそんなんじゃなくてさ…!ほら!飴ちゃんやるから悲しそうにすんなって〜。…あっ!な、泣いてないよな!?盾石が泣いたらつるちゃんに殺される…!!」
"つるちゃん"とは、剣城くんのあだ名である。
そういえば、剣城くんが下の名前で呼ばれてる所聞いたことないかもしれない。
「なあなあ、つるちゃ〜ん。俺と席交代しねえ?今なら【声が大きい女の子】と隣の席になれるよ」
前の方に座る剣城くんの元へ駆け寄る矛杉くんにまだそのネタ引っ張るのかこの男…!!と、奴の後頭部を睨みつける。
「別にいいけど、矛杉はいいの?席、教卓の目の前になるけど」
「うぐっ…ま、まあ前の席になるのは正直いやだけど…。でも、俺はつるちゃんに頑張ってほしい…!!」
そして2人が話し合った結果───。
「よろしく、盾石」
「……」
剣城くんと矛杉くんはお互い席を交代し、私の隣は剣城くんとなった。