体育祭が終了し、期末テストの時期に突入したとある日のこと───。
「席替えしまーす」
HRの時間に担任が気だるそうに教卓から立方体の箱を取り出した。
「2学期の中間までは席替えしねえから。絶対しねえから」
担任の気まぐれな発言にクラスメイトたちは「いえーい!」と盛り上がっている。
「ももちゃんと席隣同士だったのに、離れるのやだな〜…」
「離れても移動すればいいんだから大丈夫でしょ」
「そうだけどさー」
ももちゃんが近くにいてくれないと授業中当てられた時に答えられないじゃん…。
「…上手いことあたしを利用してんじゃないわよ」
「あれっ、声に出てた?」
「思いっきり出てたわバカ」
びよーんと両手で頬を引っ張られ、ごめん…と笑いながら謝る。
「おい、盾石。くじ引きにこーい。あとついでに弓地も」
「ついでって何」
ももちゃんと一緒に教卓の所へ向かい、箱に手を突っ込んで一枚の紙を取る。
「柚奈何番だった?」
「35番」
「マジ?あたし34番」
「えっ!?…ってことは……」
黒板に書かれた席順を確認する。


