そもそも剣城くんと話すようになったのは今年からだ。

1年生の時はクラスが違ったから名前を聞く程度だった。

ジト目な私を見て、剣城くんはくす、と笑った。


「盾石、何変なこと言ってんの?好きでもない子だったらこんな見つめたりしないでしょ」

「はい…??」


言ってることに全く理解できなかった。

いくつもの疑問符を頭上に浮かべながら剣城くんを凝視する。

そんな私を剣城くんは困ったように肩をすくめた。


「やっぱ気付いてないよな〜…」

「えっ…?」


にこっと笑顔を向けて、更には距離を詰めてくる。


「わかってないだろうからもう一度言うけど。俺、好きでもない女子のこと、こうやって近距離で見つめたりしないから。後、日直のペア盾石じゃなかったら勝手に1人で全部終わらせてさっさと帰ってるし」


淡々と話す剣城くんにドクンッ…と、心臓が大きく音を立てた。


「…言ってる意味わかる?」

「……??」



「俺、好きな子(盾石)以外興味ねーの」


剣城くんはゆっくり手を伸ばし、私の左手をそっと包み込んだ。