「あっ!柚奈おかえり!熱中症だったんでしょ?具合大丈夫?何で言ってくれなかったの」
「ごめん、ももちゃん…」
運動場に到着すると、私たちに気づいたももちゃんが小走りで駆けつけてくれた。
「……」
「ん?どした?」
高鳴る心臓を抑えつつ、私は無言でももちゃんの腕に抱きついた。
ももちゃんは心配そうに「柚奈?」と声をかけてくれるが、何でもない、と首を横に振って俯く。
ぎゅーっと、ももちゃんの腕にしがみついた状態で閉会式に参加する。
心臓、まだドキドキしてる…。
顔も熱くなってきたし、やだな、恥ずかしい。
何色のチームが優勝したのかも、生徒会長や校長先生の話も全く耳に入ってこず、手の中には剣城くんの温もりが残っているような気がして。
そして、彼の笑った表情がずっと頭から離れなかった。