「熱い視線送ってくれてるとこ申し訳ないけど、早くしないと閉会式始まるよ。とりあえず、そこから出られる?」

「んなっ…別にそんな……いや、私、靴履き替えに行かなきゃ……」

「大丈夫、盾石の運動靴持ってきた」

「へあっ、あ、ありがとう…」


剣城くんから運動靴を受け取り、窓枠に腰かけて上靴から外靴へと履き替えた。


「…わっ!」


降りようとした時、剣城くんが両脇に手を入れてきて、軽々と私を持ち上げる。

突然、宙に浮いたような感覚を味わい、抱き上げられた状態のまま、私は咄嗟に彼の首にしがみついた。


「盾石、急に締める攻撃しないでよ」

「だ、だって剣城くんが赤ちゃんみたいな抱っこしてくるから!!」


真っ赤な顔で言い返すが、私の反応を見た剣城くんは可笑しそうに笑う。

そんな彼の優しい笑顔を見た瞬間、ドキッ…と心臓が大きく音を立てた。


その後、剣城くんがそっと地面に下ろしてくれて。


「行こ」


それだけ言って、歩き出す。