剣城くんは押し強い






保健室に入ると、ひんやりとした冷気が火照った体を包み込んでくれる。


「はい、冷却シート。あと保冷剤脇に挟んで」

「あ、ありがと…」


ベッドに横たわると、テキパキ準備してくれる剣城くんに呆気にとられつつも、しっかりお礼を伝える。


「じゃあ俺、次の競技出ないとだから行くね」

「へっ…あぁ、うん……」


剣城くんはぽんぽんっと、私の頭を撫でた後、そのまま保健室から出て行く。

扉の閉まる音がして、ぼんやりと天井を見つめながら私はこう思った。


剣城くん、あっさりと出て行ったな…。


そこはもうちょっとさ、『盾石が眠るまで側にいるよ』とか、『子守唄歌ってやろうか』とかさぁ。

次の競技に出ないといけないのは仕方ないことだけどね??

まあ、別に?気にしてませんし?
どうってことありませんし??


「……」


〜〜〜っ、剣城くんなんか肘に擦り傷作っちゃえ…!!


布団を頭まで被りながら心の中で彼の悪口を言いまくっていると、だんだん睡魔が押し寄せてきて。

気づけば私は眠りについていた。