剣城くんは押し強い


一体全体、誰がそんな噂を流したって言うんだ。

ももちゃんがそんな簡単に周りに言う人ではないけど、きっとももちゃんから聞いた人が言いふらしたってことだよね?

…こんなの、許すまじき行為だ!!


「ももちゃん」

「んー?」

「ももちゃんこの前剣城くんが私を…す、好き、ってこと…1人にだけ教えたんだよね?それって、誰?」

「あー、あいつ(・・・)だよ。たて───」


もう少しで犯人の名前が分かったと思ったのに───…。



「盾石!」



四つ折りにされた正方形の紙を手に持った剣城くんが目の前に現れた。


「ごめん、ちょっと来て!」

「えっ、なんっ……」

「早く!盾石来てくんないとゴールできない!」

「ええっ…!?」


強引に腕を掴まれ、立上がらされる。


「いいじゃん、柚奈いってきな」

「そーだそーだ!いってこい、柚奈〜!」

「彼ピッピのお迎え〜!」

「ヒューッ!!」


誤解を生む発言は控えてください!!!


「盾石、早く!」


ももちゃんたちに背中を押され、仕方なく、私は剣城くんに手を取られた状態で走ることになった。