剣城くんは押し強い


食い気味にブンブン首を横に振りながら否定する。


「やばいよ、あれは猛獣だよ!!ももちゃん弓で剣城くん倒して!!」

「何言ってんのかさっぱりだけど…。まあ、今日のあんた可愛いから虫除けとして歯形つけたんじゃない?いいじゃん、愛されてるね」


ももちゃん、話を聞いてください!!!


「あんなの愛でも何でもないよ!!」


目が完全に肉食動物だった…!!

もしあの場から逃げていなかったら、きっと私は食い殺されていたかもしれない。

想像するだけでゾッとする。


「なるほど、剣城は柚奈と2人きりになると豹変するタイプか。ロールキャベツ系男子じゃん、いいね。二次創作漫画にしてコミケ出そうかな」

「何言ってんの!!!」

「…あっ、ちょっと剣城。あたしの柚奈にあんまいじわるしないでよね〜」

「!?」


ももちゃんの目線が私から後方に移る。


「何、盾石。さっそく噛み跡(それ)自慢してんの?」

「何言ってんだこの男!!!(恐怖)」


案の定、剣城くんが真後ろにいて何事もなかったかのような飄々とした態度に少し怒りと恐怖が込み上げてきたのだった。