剣城くんは押し強い


そして私の肩に顔を埋めたのかと思いきや、それは突然のことで───。


「いっ…!?」


剣城くんはがぶり、私の首筋に歯を立てて噛みついてきたのだ。


「〜〜っ、ひぎゃあぁぁぁっ!!??」


慌てて剣城くんの胸を腕で押し返して距離をとる。

叫びすぎて息を整えながら剣城くんを見る。


こ、この人…今、私の首筋、か、かんっ、噛んで……。

怖っ、こっっっっっわ!!!


体に痛みが走ってじわじわと後からくる。

金魚のようにパクパク口を動かしていると、剣城くんの獲物を狙う瞳と目が合い、身震いしてしまう。


「…っ、剣城くんの、バカ!アホ!ハゲ!!」


そう吐き捨てた私は全速力で脱兎のごとく走り去った。


「あ、おかえり柚───」

「ももちゃん!首見て!これ出血してない!?大丈夫!?」


剣城くんに噛みつかれた部分を見せると、ももちゃんはぱちくりとそれを凝視する。


「何これ、歯形?」

「剣城くんにやられた!!」


剣城くんの噛みつく攻撃に私は100のダメージを受けた!▼


「えっ…柚奈もしかしてさっきまで剣城とイチャイチャ───」

「してない!何にもしてない!!」