剣城くんは押し強い



「さっきの男子に呼び出されたって言ってたけどさ〜」

「…?」

「告白だったらどうしてたの?」

「へっ…」


顔を上げると、剣城くんは真顔で見下ろしていた。

怒っているのか、それとも苛ついているのか、全く感情が読み取れない表情。

顔にはほんの少し影が落ちていて、瞳孔が開いている彼を前に目を逸らすことができない。


「こくはく、とか…ありえない、よ……」


次第に心拍数が上がっていく。

緊張しているのか、上手く口が回らない。


「ありえるだろ。化粧して、そんな髪型でうなじまで出してさ…」







「こんなの、他の男が寄ってくるに決まってんじゃん。盾石はさ、自分の見た目ちゃんと自覚してるわけ?」

「はっ…何、言って…」


意味がわからない。
何でそんな怖い顔して聞いてくるの。

…大体、私みたいな女に告白なんてありえないでしょ。


「私、もう、戻る……」


理解できなくて早くここから逃げたいと思い、さっさとももちゃんの所へ戻ろうと背中を向けて歩き出す。

しかし、剣城くんが阻止するかのように後ろからガシッと腕を掴んで。