剣城くんは押し強い



───ガコンッ。


自販機から飲み物が落ちてくる音が静かに響いた。


「はい、どーぞ」

「…ありがと」


運動場から少し歩いて自動販売機が何台か置かれている場所に移動した私たち。


剣城くんに流されるままついて来てしまった…。

あの男の子、大丈夫かな。
急に私がいなくなって今頃驚いてるんじゃ…?


「飲まねーの?」

「っ!の、飲むよ!」


剣城くんが奢ってくれたスポーツドリンクをごくごく飲んだ。

梅雨の季節だというのに、今日は珍しく晴天。

夏はまだ来ていないが、ジリジリと肌を焦がすような暑さに体は火照り、喉に流し込んだスポーツドリンクは丁度いい冷たさだった。


そういえば、ぼーっとしながら競技観戦してたからあんまり水分とってなかったかも。

一応お茶は持参してきたけど、良いタイミングで水分補給できてよかった…。

ペットボトルを両手で持ちながらホッと一息ついていると、



「…なあ、盾石」

「何───…っ!?」


剣城くんがいつの間にか真後ろに立っているかと思ったら、彼の長い指がつーっと、うなじをなぞられて。

びくっ、反射的に肩が飛び跳ねてしまう。