信じられなかった。
1年の頃はほとんど関わったことないのに、男女問わず人気者の彼は、どこか遠い存在の人だと思っていたのに。
剣城くんって、意外と一途なんだな…。
告白された時、『わたしはすきじゃない』って言い切ったことに少し申し訳ない気持ちになった。
私みたいなちんちくりんよりもっと綺麗な子や可愛い子いっぱいいるだろうに。
剣城くん、顔は無駄に良いから女の子なんて選び放題じゃん。よりによって、何で私なんだろう……。
そんなことを考えていると、ぎゅむっ、と剣城くんが私の耳たぶを優しくつまんでくる。
「…あぎゃっ!?」
くすぐったいあまりに勢いよく上体を後ろに反らした。
「ははっ、何ボーッとしてんの」
耳元を手で押さえて楽しそうに笑う剣城くんを睨む。
剣城くんの笑った表情を見て、「笑うと結構可愛らしいんだな…」と心の中で呟いた。
笑った拍子に八重歯が見えて、いつもより幼く感じる。


