剣城くんは押し強い


しかも今年のチームの色は赤組で、ももちゃんが鉢巻をリボンのように結んでくれたのだけど、皆からは、

『【魔女の宅急便】のキキみたい』

とか、

『お届け物でーす』

とか言って、楽しそうにはしゃいでいた。


ジブリのキキは髪短いし、書籍版のキキは髪が長くて三つ編みなんてしてないけどね…と、ボソリ、皆に聞こえない程度に言い返す。


『これ、剣城トンボのかっこ似合いそうじゃない?』

『わかる〜』


…何で剣城くんがトンボなのさ。

あれは13、14歳くらいの男の子がやるからこそ可愛いのであって、剣城くんだと背が高すぎて逆に似合わないでしょ。

───なんてことを考えながら、じっ…と目の前にいる剣城くんを見上げる。


「盾石、去年はお団子にしてたよな」


私の髪に視線を落とした状態で言う彼にコクリと頷いた。


「…よく覚えてたね。クラス一緒じゃなかったのに」

「1年の頃も盾石のこと好きだったからしっかり覚えてる」


伏し目がちに答える彼の発言に思わず「えっ…」と消え入るような声を漏らした。

"1年の頃も"って…。


「…1年の時から好きでいてくれてたの?」

「……あー、まあ、うん。去年の時から盾石のことずっと見てたし、ずっと想ってた」