「剣城くんも日直なんだからさ、座ってないで窓閉めたりするとかさ……他にやることあるよね?」


日直の仕事は黒板消しや窓閉め、そして今私が書いている学級日誌など、その他諸々。

私と剣城くんは同じクラスで出席番号は私の後ろ。

日直は2人ずつ回ってくるため、彼とは名簿順的に必ずペアになる。


「窓は後で閉めればいいし、黒板消しも終わった。最後に残ってるのって日誌だけでしょ?」


彼の長い指がトンッと、日誌を指した。


「だからすることないからこうやって盾石が日誌書いてるとこ眺めてんの」


剣城くんがにこっと笑ってそう言った。


「ほら、早く書かないと帰るの遅くなるよ」

「っ……」


何も言い返せなかった私は机の上に置いていたシャーペンを握りしめた。


反論できなかったのは今日の日直をほとんど剣城くんがやってくれたから。

授業と授業の間の休み時間の黒板消しやクラス人数分のノート回収など、すっかり日直のことで頭になかった私に彼は何も言わず、全て一人で仕事をさせてしまったのだ。