「柚奈おはよ。髪やってあげるからこっち来て」


柚希と別れて教室に入ると、すでにほとんどのクラスメイトたちが登校しており、その8割が女子しかいない。

自分で髪を結っている子や気合いを入れて鏡と睨めっこをしながら化粧をする子。


「ももちゃん来るの早いね」

「体育祭だし当たり前じゃん。学校行事の思い出に残るんだから写真映えできる見た目じゃないと意味ないからね」


ももちゃんがコテで同じクラスの女子生徒の髪を巻きながら答える。

その後、女の子の髪をセットし終えたももちゃんは、「こっち」と手招きをして、目の前の椅子に座るよう促した。


「本日はどのような髪型にされますか〜?」

「えっ…お、おまかせでおなしゃす……」


ももちゃん、急にどうしたの。


「柚奈の場合、男が萌えそうな髪型でいんでない?」


近くにいたクラスメイトがこちらに振り向いて提案をしてくる。

…はて、"男が萌えそうな髪型"とは??


「やっぱ王道のツインテールかな…」

「おさげでもありよね〜」

「ありあり!1回コテで髪巻いて……」

「うんうん、いいね」


私を差し置いて、どんな髪型にするのか会話が徐々に盛り上がっていくももちゃんたち。