バアンッ!!!
「ゆーずな────ッ!!!」
朝、うるさく鳴り響くアラーム音とともに、奴が勢いよく扉を開けてベッドの側までやって来る。
「ゆずな!起きろ!朝だぞぉぉ!!」
「ぐえっ…!!」
どすん、上からのしかかる攻撃を受けて、あまりの重さに濁った声を上げる。
「…柚希うるさい。あと重い、どいて」
双子の弟、柚希はぱちくりと瞬きをした後、「じゃあ早く起きろ!」と、満面の笑みで更に体重をかけてきた。
「…今6時半だよ。何で今日こんな早起きなの」
上に乗っかっている柚希をむりやり押し退けて、目を擦りながら体を起こす。
「何でって、今日体育祭じゃん!!」
「……」
そうだ、今日は体育祭。
季節は6月中旬。
私が通う学校は、毎年この時期に体育祭が行われるのだが、剣城くんの締める攻撃事件以来ずっと調子が悪くてすっかり学校行事のことを忘れていた。
『ほら、ゆずちゃんおいで』
「…っ、〜〜〜ッ!!」
剣城くんの顔が脳裏に浮かび上がって、恥ずかしさのあまり布団に潜り込む。