「盾石だって、昔は押し強かったくせに」

「でも、今は剣城くんの方が押し強い!!」

「そうだっけ?」


首を傾げて、白々しい表情で答える剣城くん。

そんな些細な仕草でも、ときめいてしまう私は、もうとっくに手遅れかもしれない。

ゔっ…と、尊さを噛み締めていると、ふと足元にあるものが目に映った。

私と剣城くんの間に咲いている"もの"は───…。


「剣城くん!見て、四つ葉のクローバー!」

「あっ、ほんとだ」

「なんか嬉しいね。幸せになれる気がする」

「『なれる気がする』じゃなくて、なるんだよ」


剣城くんは立ち上がって、「帰ろ」と、手を差し伸べてくれる。

私も笑顔で頷いて、剣城くんの手を握り返した。

それから、私たちはこれからの未来のことや、付き合ってから何をしたいかなど、手を繋いで歩きながら、いろんな話をして帰った。









押しが強く、時には押しに弱く。

すれ違って、悩んで、泣いて、笑って。




「ずっと思ってたんだけど、盾石、手小さいな」

「いや、剣城くんが大きくなっただけだよ!!」








これは、私ときみの、

未熟で青い、恋の物語だ───。





【END】