「剣城くんのことは、お母さんの日記帳を読んで、しっかり思い出したけど、それ以外の思い出は、まだ曖昧でさ。精神的な病気(・・)もね、昔の時よりかはだいぶマシになったんだよ。お母さんと他界して間もない頃なんか、もっとひどかった…。突然、取り乱したり、泣き出したり、怒ったりして、お父さんと柚希に八つ当たりした上に、感情も麻痺し始めてきてさ。家族からの愛情が信じられなくなるくらい、人として最低な考え方もしてしまった。それから、診察してもらったり、カウンセリングを受けたりして、しばらくは日常生活に支障をきたしてばかりで。本当に、私はどうしようもない人間だったんだよ」


記憶が曖昧なのは、これからゆっくり、一つ一つを大切にしながら、思い出していけばいい。

そう思っているけれど、私は、大好きな家族に沢山迷惑をかけてしまった。

傷つけて、後悔をして。

それなのに、こんな私を支えてくれて、愛してくれた柚希とお父さんに、いっぱい恩返しをしていきたい。

償っていきたい。

感謝を伝えたい。


もちろん、家族だけじゃない。

ももちゃんや他にもこれまで仲良くしてくれた友達に、剣城くんにもだ。


「見放さずに、手を差し伸べてくれた人たちに、今度は私が皆の力になりたいし、助けたい。頼れるような人になりたい」


もし、私みたいに、心が不安定になっている人たちの支援もできるようになりたい、とそう考えている。