文化祭が無事に終了し、私と剣城くんは、河川敷に座って、赤い夕日に染まる川のせせらぎをぼんやりと眺めていた。


あの後、私たちの思いが通じ合って、沢山泣いて、目を腫らした状態で教室に戻ると、クラスメイトたちがこちらに気付き、声をかけてくれる。


『おかえり〜、夫婦喧嘩は解決したか〜?』

『なおぽん(担任)が差し入れにパン買ってきてくれたから、今皆で食べてんだよ。お前らも好きなの取っていいよー』

『…つーか、2人とも目赤くね?』

『目がパンパンだな…』

『…パンだけに?』


だははっ!!と笑いが起こる中、私たちは返す言葉もなかった。

いつもみたいにからかってくるのかと予想していたのだが、ダジャレではしゃぐだけはしゃいで、後は、何事もなかったかのように、さっさと片付けを始めるクラスメイトたち。

空気を読んで気を遣ってくれているのかどうかはわからなかったが、もう少し、私たちに触れてくれてもよかったんじゃないかと思ったり、思わなかったり…。


そんな不満を抱えていたのも束の間───。








「……あの、剣城くん」