剣城くんは押し強い


剣城くんは、私が嘔吐するという事情を知っていたにも関わらず、何にも力になれなかったこと、

私が槍田くんに好意を寄せているという勘違いをしていたこと、

私と槍田くんが両想いなのだと察して、振られる覚悟をしていたこと、

そして、私の幸せを優先してくれていたことを話した。

もちろん、私もあーだこーだと必死に弁明する。


「「……」」


無事にすり合わせが終了し、結論によると、私たちは完全にお互いの気持ちがすれ違っていたのだと理解した。


「……つまり、俺が盛大な勘違いをしていたから、その……」

「いや、返事をするのに心の準備がどうとか、もたもたしてた私も悪いし……」

「……」

「……」


どっちもどっちというか、お互い様というか…。

いや、でも8割は、ほぼ私のせいでもあって…!!


「…まさか、こんな恥ずかしい思い違いをしていたとか……」

「な、なんかごめん…」

「あー…っ、いや、盾石は何も悪くないよ。悪いのは俺の方だし……」

「いやいや、悪いのは私だよ…!!」


顔を上げると、剣城くんと目が合って、あははっ…と困った表情で笑みをこぼした。