「剣城くん、私は怒ってるんだよ!!(2回目)」
剣城くんの無自覚であろう行動に、まんまと手のひらで転がされていた私もあれだけど!!
ズイッと距離を詰める私に、剣城くんは少し気まずそうな表情をする。
「確かに、『盾石だけは譲れない』とか、『ずっと側にいる』とか、色々言ったけど…。でも、それはちゃんと本心で発言したことだから……その、嫌な思いしたんなら、ごめん」
目元を赤くさせたまま、剣城くんは話を続ける。
「……俺さ、てっきり盾石は槍田くんのことが好きなんだと思ったんだ。…だから、たとえ、可能性がなかったとしても、たったの1%だけでもいいから、振り向いてほしい気持ちでそういうこと言ったんだ…。それで、文化祭前に盾石と槍田くんが2人で会ってるところを目撃して、『……あぁ、盾石が想う相手は、やっぱり槍田くんなんだ…』って、わかった途端、当時押しまくっていた頃より、どんどん自信なくしてきて……。だったら、いっそのこと俺が当て馬になって、盾石の幸せを願うしかないって一人で勝手に納得して、それから──…」
「ちょちょちょっ、待って!ストップ!!」
どんよりとした、暗い雰囲気を纏い始める剣城くんの話を遮った。


