そして、数分後。


「……ごめん。ほんとにごめん。お見苦しいものを見せてしまって申し訳ないっ…」


気持ちが落ち着いたのか、剣城くんは、恥ずかしそうに両手で自分の顔を覆いながら謝った。

いつもは、余裕綽々とした態度がほとんどなのに、今の剣城くんは、神妙な面持ちで、がっくりと肩を落としている。

普段と違う彼の姿は、なんだか新鮮だった。


あっ、でも、小学生の頃の剣城くんは、口が悪くてすごく生意気だったな…。


「……盾石はさ」

「うん?」

「いつから俺のこと、また好きになってくれたの?」

「えっと…ひまわり園に行って、その帰りくらいの時、かな……」


自分の中に恋心が芽生えたのは、ほんの一瞬の出来事だったから、いまいちよく覚えていない。

恋は、気が付いたら落ちている……と、何かで聞いたことがある。

でも、剣城くんを見かけるようになった時には、もう好きだったと思う……たぶん。

1年生の頃から爽やかでかっこいいなぁ…という程度で、無意識に目で追っていたこともあった。

まあ、まさか2年になっていきなり告白されるとは予想外だったけども。

そして、彼からの告白がきっかけで、完全に忘れていた槍田くんとの思い出が蘇ってきたわけで。