クラス替えをして、今度は盾石と同じクラスになった。

そして、はからずも、名簿が前後で、日直もペア。

チャンスだ、と思った。


『───でさ〜、聞いてよ盾石』


俺に話しかけられていることをわかっていながらも、視線をこちらには向けず、日誌を書く彼女を眺める。

あの頃は、お互い同じくらいの身長だったのに、今では体格も何もかも全く違って、簡単に包み込めそうなくらい、盾石が小さく見えた。



──『あやくん、ゆずとけっこんしよー』



あの日、盾石が俺に対して沢山想いを伝えてくれたから、これからは、俺が『好き』だと言う番。

この時点では、既に盾石の心には"槍田くん"という、顔も知らない男がいて、俺が入る隙なんてないのかもしれない。

でも、やっぱり盾石が好きだからさ。

盾石しか、考えられないからさ。


俺はどんな手を使ってでも、槍田とか言う男なんて忘れてしまうくらい、押して、押して、押しまくって。

押し強い攻撃をしまくったら、盾石も俺みたいにオチてくんないかなって…。

そう考えたけど、結局、俺の想いが届くことはないんだとすぐに悟った。