初めて盾石姉弟と出会って、柚希を叩いたら盾石が怒り出して、殴り合いの喧嘩が勃発したこと。
チロルチョコをお詫びとして、仲直りしたこと。
盾石の笑った顔が可愛らしいと思い始めたこと。
四つ葉のクローバーの押し花をあげるとすごく喜んでくれたこと。
俺の良いところを沢山見つけてくれたこと。
盾石の方から告白してくれたこと。
俺のことを好きでいてくれたこと。
俺にとって、どれも大切で、宝物な思い出だった。
地元を離れてからも、俺はずっと上の空で。
小学校を卒業しても、中学校を卒業しても、長年の片想いを拗らせたままでいた。
そして、去年の3月。
両親に無理を言って、自分だけ地元に帰ってきた。
まだ盾石がいるのかもわからないのに。
俺のことなんて、忘れているのに。
だけど、会いたいという思いで、祖父母の家で暮らしながら、盾石のことばかり考えていた。
───会いたいな…。
そんなちっぽけな願いを胸に抱いて、高校の入学式を迎えたある日のこと。
柚希と偶然的な再会を果たした。


