剣城くんは押し強い


脳内に宇宙が広がっている私をよそに剣城くんはソファーに座ってくつろぎ始める。

現代文の刀根先生の甥っ子なんだ〜、ふーん、へー…。

そう思いつつ、何故鍵を閉めたのかという疑問を抱く。


密室(一応先生がよく使う部屋)+男女2人きり+鍵を閉める=死…。

───もしや、剣城くんは今から私を殺害しようとしている…?

つ、剣城くん、まだ若いのに私を殺して人生を終えるつもりなの…!?


サーッと血の気が引いて、剣城くんを見ていると───…。


「盾石、おいで」


こちらに両手を広げる剣城くんに「…はあ?」と眉を顰めた。

先程まで恐怖を感じていたのに、一気にその感情はどこかへと飛んでいった。

顔に出ていたのか、何か言いたげな私に察した剣城くんは眉をハの字に下げる。


「俺ね、今日昼休みに3人、授業の間の休み時間に2人の女の子に呼び出されてすごく疲れてんだよね」


嫌味か?
俺、めっちゃモテるんだぜっていう嫌味か??


「お昼ごはん食べる時間も削られてちょっとイライラしてんの。だからさ───」







「俺のこと、癒やしてほしい」

「頭大丈夫??」


ぽろっと思わず本音が口から出てしまった。