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『絢人っ!!』
母さんが真っ青な顔で家に帰ってきた。
ゆずなとゆずきが7歳の誕生日を迎えて、およそ1ヶ月ほど経った時のことだ。
『……っ、今から病院に来れる!?』
『えっ、なんで…?』
『柚葉と柚奈ちゃんが、事故に遭って……病院に運ばれたの…っ!!』
それは、突然のことだった───。
『ゆず!』
母さんに連れて来られて、ゆずながいるという、病室へと駆け込む。
『っ…!?』
ゆずなの姿に思わず息が詰まった。
頭を包帯でぐるぐると巻かれて、体中も包帯だらけ。
腕には点滴が繋がれている。
ゆずなたちの母親は、どうして同じ部屋にいないのだろう。
2人は、事故に遭ったと聞いたのに。
父親の姿も、ゆずきの姿もどこにも見当たらない。
どうして誰もいないんだ。
どうしてひとりぼっちにさせてるんだ。
どうしてこんな───…。
『ゆず──…』
『だあれ?』
まるで、初対面の人間を見るような表情で、俺に問いかけた。
『……はっ?』
一瞬、聞き間違いなんだと思った。
『……なに、いってんの、おまえ…』
体の熱が一気に冷めていく感覚がする。


