剣城くんは押し強い



『ううん、それだけじゃないよ。ゆず、あやくんのやさしいとこすき』

『…えっ、やさしい?おれが?』

『うん!』


ゆずなは頷いて、ぎゅっと俺の手を握った。


『あやくんのすきなとこはね、ちゃんと"ごめんなさい"っていえるとこがすき。ゆずがあげたひまわりをうれしそうにもらってくれたとこがすき。ゆずがすきなおはなおぼえててくれて、"おしばな"?っていうのをがんばってつくってくれたとこがすき!』


握られている部分が熱くなっていく。


『よつばのクローバー、さがすのたいへんだったでしょ?ゆずね、じつはこっそりみてたんだ〜。あやくんがまいにちよりみちして、いっしょーけんめーにさがしてたの』


だまっててごめんね、と謝るゆずなに、今度はカカカッ…と、一気に全身が熱を帯びていった。


『だからね、ゆずのためにがんばってくれるあやくんをみて、ゆずは、あやくんとけっこんしたいっておもったんだ〜!』


更には、目頭まで熱くなっていく。

恥ずかしさと嬉しさが入り混じって、なんだかくすぐったい。

でも、すぐに自覚した。

俺は、ゆずなが好きなんだって。